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努力はうそをつかない
ーー 2月3日 ーー
昨年同じころにお師匠さんが初めて連れて行ってくれた場所です。
昨年のブログにも書きましたが、わずか2回滑って、体力の限界で心が折れた場所です。
「これではいけない」と思い、春からジョギングをして、今回はほぼ予定通り4回滑って登ってくるこができました。
お師匠さんから「努力はうそをつかないね」と言われて、安堵しました。
これからも体力増強とスキー技術向上に努力です。
ただいるだけで、人が人を助けることがあるのですね
ーー 1月23日 ーー
障害者の相談事業所の相談支援専門員である私が支援する人たちには障害がある。私の事業所と契約しているKさんは就労継続支援A型事業所を利用している。Kさんはあるがままの自分として生きている。ごく普通に仕事をして、この事業所の利用者さんたちから慕われている。ミスが少ないとか、素直であるとか、円満な人なのだが、それはKさんが特別ということではなく、一般的にこういう人はいるよね。
このA型事業所でKさんを特別に慕っている方がいる。精神障害があれば、生きていくことが特別につらいこともある。この方は一週間連続して休まずに勤務を続けることがなかなかできない状態が続いていた。そこにKさんが現れた。この方はKさんを慕って、いつも一緒にいたいと思い、それをKさんは受け入れて-Kさんは誰をも分け隔てなく受け入れる―この方の思いは達成されている。
予定していた勤務日の半分ぐらいも休んでいたこの方は、驚いたことに、ほぼ毎日出勤して働くようになった。事業所のスタッフは、どの利用者さんも働きやすいように配慮をしている。この方も、そのような環境で努力して働こうとしてきたが、それでも休まざるを得なかった。ところが、Kさんとおつきあいするようになって、毎日出勤するようになった。すごいことだと思う。
私がKさんにこのことをホームページに書いていいかと聞いたら、いつものごとく「ああ、はい」と、こころよい返事。「相手の方もいるから、その方もいいかな?」に「いいですよ」と軽い返事。
Kさんは自分でたいしたことをしているとは思っていないし、実際すごい努力をしているのでもない。けれども、すごく人にいい影響を与えている。これって、なんだろう?なんだかわからないが、実際にこういうことが起こっている。
Kさん自身、身体障害があって、加齢から痛みも出ている。本人のせいでもないのに軽くもない病気がやってくる。つらい体験を繰り返してきたようだ。自己評価も高くないようだ。でも、Kさんと話していると、ざらざらした感じがない。「どうして?」なんて考えたってわからない。実際にこういう人がいて、この方の周りの方々を具体的に何かをして助けるということでもなく、ただ一緒にいれば落ち着いて、とても助かっているという人たちがいるという事実。よくわからないのだが、神様仏様のような人だと私は思う。
子どもがどんな気持ちでいるか、どうしたら理解してくれるかを想像して、支援する
ーー 12月11日 ーー
自閉症がある子どもの支援についてです。
自閉症と言っても、子ども一人ひとりで状態が異なるのですが、この子たちはよく「こだわりが強い」と言われます。「こだわり」が見られた時に、支援者が「自閉症だものね」とみなして「こだわりがあるのだからしょうがないね」で済ませては、ちょっと困りますね。
かつて知的障害の養護学校と言われていた学校の教員をしていた頃、もう30年ぐらい前のことです。冬の日に、ある小さな女の子が手袋を見て泣いて、手袋をしようとしないことがありました。ところが、次の日に彼女はすっと手袋をして外に行きました。おそらく彼女はそれまでに手袋をすることを求められたことがなかったのではないでしょうか?だからとても不安に感じて泣いた。「私はこれまで手袋をするように求められたことはなかった。これは何?どうするの?」と言葉での表現はしませんね。そうはできません。不安でなんとなく怖くて泣くしかなかった、ということだったのではないでしょうか?でも、前日に周りの子どもたちが手袋をして外に行くのを見たので、「こうやって外に行けばいいのね」と納得して自分から手袋をしたのだと思います。
当時の養護学校で彼女は「重度・重複」と見られて、そのグループで指導を受けていました。でも、経験していないだけで、一度本人が納得できるように教えてもらったり、自分から納得できたりすれば、何事もなかったように目的に応じた行動をするのでした。彼女が理解するルートに応じて支援すれば目的に応じた行動をするのでした。
支援する者が、このような理解をしないとか「どうしたらわかってもらえるだろうか」と努力をしなければ、「混乱している子ども」とみなして、それに応じた対応をしてしまいかねません。
学校の避難訓練で上履きを履いたままではどうしても外に出られなくて混乱する生徒を担任した時、前からいる先生から「避難訓練では大変なことが起こる」と聞いていました。訓練前日に、やや強引な指導でしたが、私が彼の上履きを玄関からポイっと外に投げ出したことがありました。
彼、「ウワッ!なにをする!」。
私、「まあ、いいからこうしましょ」と、彼を押して、靴下のままで玄関からすぐそこにある上履きを取りに行かせました。そうしても「この世の中では安心して過ごせる」と実感できた彼は、避難訓練で何事もなかったように上履きのままグラウンドに避難できたのでした。
彼と私はどういうわけかウマが合っていつもニコニコ笑い合える関係だったので、こんなやや強引な取り組みも成功すると私には確信があったので行ったことでした。
もし、彼女や彼が「気持ちが乱れやすい」「いつも混乱する」と見られ続けていたらどうなっていたでしょうか?実際に彼は以前のクラスでは特定の同級生たちとの折り合いが悪く大変苦労していました。そういう期間が長かったのでした。しかし、なぜかウマが合う私が彼と休み時間に面白おかしく楽しく過ごしていると、折り合いが悪かった同級生たちが寄ってきて、彼をおもしろがるようになりやさしくなり、やがて彼はそのクラスで明るく授業を受けるようになりました。
表面上の理解で「(あの生徒は)いつも気持ちが乱れる」「指導が難しい」と思うところから、支援者はもう一歩踏み込んで、「それじゃあ、どうしたら子どもに理解してもらえるだろうか」と相手の気持ちや状態を想像し、彼らが理解するだろうと考えられる方法で支援することが大切です。予想が外れてうまくいかなければ、考え直して別の方法で取り組めばいいのです。
ただ、気をつけなければならないのは、支援する側と支援される側両者の根底に相手を思いやり尊重して安心できる信頼関係がなければどんな支援もうまくはいかないということです。また、「こだわっている」「不安に思っている」時の状況によっては、踏み込んでいかずにそっとしておいた方がいいこともあります。普段の心を通わせた付き合いから、言葉で言わなくても相手の気持ちが自然にわかってくることもあります。ウマが合うとそうなっていきます。どんな時もどんな人ともそうできるのではありませんが、そうなるような努力をしなければ始まらないのです。
本人や親の気持ちと願いをよく聴こう
ーー 10月9日 ーー
かつて成人の身体障害がある方(Aさん)の支援をほんのわずかしたことがあります。Aさんは脳性まひのために身体障害があります。
Aさん「朝、母に仕事場に送ってもらう。母の職場に間に合うように送るから、私の仕事場のカギがまだ開かない時間に着く。ドアの前で立って待っているのはつらい。」
私「それなら、ドアの近くに椅子を置いてもらったらいいのではないか?」
Aさん「私は一度椅子に座ると、前に取手になるものがないと立ち上がれない。」
私「知らなかった…」
何のことはない。彼の職場が、彼の障害を理解して、椅子を置いて、時間になって鍵を開ける人が彼の手を引いて立ち上がらせくれればそれでいいのでした。このことを言える関係が彼と職場の間になかったのでしょう。当時は私も相談支援専門員をしていなかったし、彼の職場に申し入れることがありませんでした。
極めつけは、Aさんの引っ越し先を一緒に探して、彼がこだわる浴槽と彼の障害の関係を私が全然理解していなかったことでした。Aさんは一定の深さと幅がある浴槽がある物件を探しました。私も手伝ってあちこち探しました。彼は浴槽の条件が合わないとすべて断っていました。私にはこれが理解できず、「こんなに探しても見つからないから、もう折り合いをつけてほしい」と言ったのでした。
後からAさんのお母さんから聞きました。
「今、Aは一人で風呂に入ることができる。それは条件がそろった浴槽だから。その条件を整えることができず、人に介助されて入浴するようになれば、もう一生一人で入浴できなくなると理学療法士から言われている。」
私はただ「‥」でした。
そして、Aさんはとうとうその条件に合う物件を見つけたのでした。
教科書に書かれている「障害」についての知識を理解することは重要です。それ以上に重要なのは、本人・家族からしっかり話を聴いて願いを理解することです。けっこう難しく、具体的な支援をしながら何回も話し合わないと、どんなことを求めているのかがイメージできないことがあります。いくら支援する善意がたくさんあるとしても、相手がどんなことを求めているかを把握できなければ、的外れでへたをするとかえって迷惑なことになってしまいます。
沢登り
ーー 10月1日 ーー
実は「沢登り」というものを知らなかった。昨年9月にお師匠さんからその誘いがあった時に、「えっ、真夏を過ぎて、沢の水は冷たいのでは?」と思ったのですが、新たに沢登り用の靴を買って、お師匠さんと沢登り専門家のお二方に連れて行ってもらいました。
これはおもしろい!水をジャブジャブと進む、滝をよじ登る、おまけにきのこもある。
汗だらけになって、ヘルメットをかぶった頭から汗が滴り、メガネに落ちてくる。こんなことがとても気持ちいい。
沢登りは登るにつれて急登になってくるようだ。沢は何度も二又に別れ、お師匠さんと専門家さんはどちらに進むかをしきりに話し合っている。尾根近くまで行くと沢は途切れて藪をこいで行くことになるので、その藪漕ぎの距離をいくらでも短くするために、地図、GPS、かつて登った時の記録を見て、しきりに考えている。超初心者の私は能天気に彼らの判断に従ってついていくだけ。
おかげさまで、今年も2回連れて行っていただいた。
60歳近くなってからスキーを再び始め、60歳を過ぎてから初めての沢登り、楽しみがグンと広がりました。
お師匠さん、専門家さんに感謝です。