学習支援は子どもの様子を見てあれこれと試してみる 支援に労力を惜しまない

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 ーー  5月15日  ーー

 「これ以上の勉強の支援は難しいのではないか」と先生は言うけれど、「どうにかして小学4年生の割り算まで習得できないだろうか」と希望を捨てきれないお母さん。またまた「それじゃあ、うちでやってみましょうか」と。

 ということで、運動支援は妻に任せて、学習支援は私の直接支援に。

 数詞は言うし、数字を読んで書ける。でも、たとえば、「3」と具体物3つが結びついていない感じがした。たとえば「ゾウが3頭とあめ玉3個を、同じ『3』で表象できていないのではないか?」とも感じた。

 ところで、勉強は、ここで生きているAさんがするもので、Aさんが納得できるような内容で指導しなければならない。学校に楽しく行って同学年の子どもたちと過ごしている小学生のAさんに、基礎的な訓練のようなことを繰り返したって、つまらないのではないだろうか?

 ということで、できるだけAさんの学年に近い学習内容で勉強開始。

 「一桁+一桁=二桁」の繰り上がりの計算で、解いていく手順がわかりやすいように数式にヒントを記して指導してみた。少しの間一緒に解いていったら、Aさん一人でできるではないか!

 これに味を占めて、繰り下がりを指導してみたが、うまくいかない。そうしたところ、繰り上がりができることを知った小学校が、今度は算数専門の先生が繰り下がりの指導をしてくれて、できるようになっちゃった。

 ということで、算数の勉強が着実に進んでいっている。

 国語もごく初歩的な読み取り問題をやってみたができない。Aさんにわかりやすいように、答えになる部分を含んでいる文章に傍線を引いて示して、そこから答えになる部分を取り出しやすいようにしたが、どうもすっきりしない。

 そこで、市販の初歩的な問題集の1ページ分の問題文からさらにAさんが答えやすいように自作プリントを作ってみた。

 たとえば、「くまさんが歩いて、りすさんのおうちに行って、それからうさぎさんのおうちに行きました」というような内容の文章に対して、問題が「誰が歩いて行きましたか?」だとします。これだとAさんは迷いの世界に入ってしまう。これに対して自作プリントで、「だれがでてきましたか?」と問い、解答欄に「とらさん くまさん うさぎさん Aさん りすさん」と記しておいて登場人物に〇をつけるようにします。Aさん、大喜びで正しく〇をつけます。問題文に自分の名前が出てきたり、なじみのスーパーマーケットの名前が出てきたりすると、大喜びでがぜんやる気が出ます。そのあとで、「誰が歩いて行きましたか?」の問いに即座に「くまさん」と答えます。 このことは、Aさんが全然理解していないということではないですよね。しかも、Aさん、笑い転げるようにしてこの学習に向かってくる。

 これでいいのだろうか?いや、いいもわるいもないのではなかろうか?どんな人であれ、実際に生活している人が何も考えないということはありえない。Aさんのように素直でまっすぐで人が大好きなで、自分なりにいっしょうけんめい生きていこうとしている子どもに、みんながしている勉強についても支援をしていく。人それぞれに自分に合った思考とか記憶とか感じ方があるはずです。それに応じて支援していく。Aさんが支援者とかかわって積極的に学習をしている。支援する私も楽しく幸せだ。

算数をやっているイラスト

学習支援は子どもの様子を見てあれこれと試してみる 支援に労力を惜しまない」への1件のフィードバック

  1. Aさんと理事長さんの温かいやりとりが見えるようです。また、算数の学習に見られるように、親の願いを受けた理事長と小学校の連携は理想的だな…と感じます。
    国語の学習で、理事長が試行錯誤を重ねて完成し自作プリントには、Aさんの生活に根ざした内容が盛り込まれています。Aさん自身が出来た、わかったことを実感し、もっと知りたい学びたいという、さらなる意欲につながっているんだな…と強く思いました。理事長ご自身が楽しく幸せだ…と感じていることは、Aさんをよく知ろうと努め、まさに共に歩んでいるからでしょう。

    理事長のようにはうまくできないとは思いますが、目の前の子どもが喜んだり、反対に乗らなかったりする姿もイメージしながら、教材づくりに取り組んでみたいとおもいます。

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