最重度の方の一泊旅行

ーー  9月1日  ーー

 最も重い障害がある方に、普通に仕事をしている弟さんが「お父さん、お母さん、お兄さんで一泊旅行に行って来たら。犬の面倒はおれがみているから」と提案。早速両親が本人に「男鹿温泉郷は?」などと訊いてみて、本人からの「いやだ」とか「もっと、こういうところも観てみたい」という要望を聴いて、田沢湖に行くことになったのでした。ご本人さんもネットでいろいろ調べていました。

 行き先は決定したものの、酸素濃縮装置や喀痰吸引の器具など、持っていかなければならない物がたくさんありますよね。ストレッチャーで移動できるバリアフリーとか援助してくれる人たちが必要ですよね。そして、食事をして泊まれるホテルがあるのかが大問題ですよね。

 本人と家族の要望を聴いてていねいに親切に対応してくれたホテルがあったのでした。部屋で食事をしてもいいのですが、他のお客さんたちが食事するレストランを体験してみたいという要望に、本人と家族も他のお客さんたちも困らないように配慮してくれたのでした。この旅行で本人が望んだことはすべて実現できました。

 私はこの話を聞いて、ビックリしました。でも、どんな障害があってもやりたいことができる世の中であってほしいですよね。今回の旅行で、ご家族のがんばりやホテルの温かさに感動しました。

車いす用車のパーク

教師の善意が実は子どもを苦しめることもある  家庭・学校・福祉事業所の連携を

ーー  7月1日  ーー

 障害がある子どもが適切なアセスメントがあって、学校でどんなことをどんなふうにして指導するかを関係者からの情報も活用して本人・親御さんが納得してスタートできればどんなにいいでしょう。また、学校で支援に困った時、本人・親御さんが疑問に思った時、関係している福祉事業所から情報交換をしたいと申し入れがあった時、すべての参加者がお互いを尊重しながらなるべく早く会議を開催できればどんなにいいでしょう。


 実は私も30年ほど教員として働いていました。自分ではまじめに一所懸命なつもりで子どものためと信じていたのだが、後から「あれは大きな考え違いだったのではないか」と悔やむこともありました。子どものためと思い込んで指導していたのですが、結果的にその子どもと親御さんに苦しい思いをさせてしまったと後悔しています。本当にすみませんでした。


 失敗から得たことの一つは、「子どものことは親が一番わかっている」ということです。親御さんに特別支援教育の専門家ではないのですが、どのようなことに子どもが喜び、どんな状況で子どもがいやがるかを経験的・直観的に知っています。この情報を十分に得て、子どもが大変な恐怖や不安を感じることは避けて支援にあたらなければならないと思います。不用意にそのような経験をさせたら、その後の子どもの気持ちの持ちようや行動に大きな影響与えてしまいかねません。特別支援教育でも不登校ということはあり得ます。それをした先生を見ただけで拒否的な態度をとるようになってしまいかねません。教師から見れば、「何をこんなことで」「こんなことで恐れていては将来世の中で生きていけないでしょ」ということかもしれませんが、本人にすればとても大きな問題で耐えられないのです。本人のこの思いを無視して教師の価値観を押し付けてはいけない、と思います。


 子どもの今の状態から出発して(たとえそれが世間の常識から大きくかけ離れている状態でも)、本人・親御さんが納得できるようにして支援を続け、その支援でいいかを本人・親御さんに確認しながら信頼関係を作っていったらいいですよね。


 現実には教師の価値観の押し付けは生じてしまいやすいです。「もっとできる」「がんばればできる」などと、子どもがもっと成長するだろうと信じて指導してしまいます。教師にとってはそれがあたりまえで純粋に子どものためと思っているのですが、子どもにとってはそれが大きなストレスで耐えらえれないとか、学校では確かにがんばってできたのですが緊張や不安を抱え込んで家に帰ってから爆発するということもあります。子どもも「自分にはできる」と思い込んで一旦は挑戦しますが、やってみたら思いのほか大変で混乱することも起こりえます。


 今は文部科学省も厚生労働省も「家庭・学校・福祉事業所の連携」を提唱しています。教育がスタートする時点からこれができたらいいと思います。万全に準備をしたと思っても困ったことがしばしば生じます。なるべく早めに親御さん・外部の関係者を含めた会議を開いた方がいいのです。どんなに子どものためだと純粋に思っても、相手から確認を取らなければ方向違いは生じかねないのです。

ayame

我が子がとても苦手にしている子どもに普通にやさしくする

ーー  5月8日  ーー

 人を支援する仕事をしている人は、きっと支援している人から自分が励まされたり感心させられたりしているのではないでしょうか?

 学年相応の学習内容を取得できるし、学校生活での集団の動きにもついていけるのですが、ついつい我が道を行って、授業中に自分が理解できればあとは好きな本を読んでいたり、気になるものがあれば状況にかかわらずそちらに歩いて行ったり、いろいろなことをしてしまう発達障害がある子ども。お母さんはさぞや気に病んでいることだろうと私は思うのです。気には病んでいるでしょうが、このお母さん、やさしいし心が広い。

 こういうお子さんにとってクラスでとても苦手な同級生がいたりします。お母さんと私が学校で授業参観して休み時間になった時でした。我が子がとても苦手にしている同級生が、このお母さんから同意をもらって慰めてもらいたいように、ちょっと不平があるようなことを話してきました。お母さん、我が子に話すようにやさしく応じていました。「すごいなあ」と思うのです。私は、親は我が子がとても苦手にしている子どもをつい避けようとするのではないかと思っていたのですが、そうではないのです。この同級生の話しぶりから前々からお母さんといい関係ができているように見受けました。

 「お母さん、すごいですね」と私が言うと、お母さんは「えっ?」「何がすごいの?」と。お母さんにとって全くあたりまえのごく普通のことなのですね。それがまた私には「すごい」と思えたのでした。

nadeshiko

念願の20km走 完走

ーー  4月30日  ーー

 バックカントリースキーでお師匠さんの足を引っ張る64歳4か月の私。何をするにも体力が大切。当面の目標は20km完走。

 やってみたら案外苦労もなく20kmを走りました。家の近くの小泉潟公園をぐるぐる回って20.28km。ゆっくり走り始めてだんだんペースを上げて、10km走って、ちょっとベンチに腰掛けて水分を補給して、あとはゆっくり走って、途中で栄養ドリンクを飲んだりして、終わってみれば、それほどの疲労もなく、「やればできるもんだなあ」。

 昨年の秋には無理をして転んで膝を痛めたことがあったので、この春はゆっくりと無理をせず、誰と競争するでもなし、マイペースで自分が楽しければいい。

 私の場合、今回できても次はどこか体調不良で「全然走れないなあ」ということが起こるのが問題なので、この改善をしていきたい。

 後半、走っているのか歩いているのかわからないような速さで、公園内の日本庭園「水心苑」に入ってみました。「きれい」なのですが、それ以上に心落ち着くように造られているのですね。これからは時々散策してみよう。

水心苑

お師匠さんの足を引っ張るバックカントリースキー

ーー  1月29日  ーー

 今冬は夏油高原スキー場、田沢湖スキー場で練習して、お師匠さんから連絡があって、阿仁スキー場へ。いつものようにリフトを使ってすいすい滑るのではなく、ゴンドラを降りてから、いざバックカントリースキーへ。これをするためにゲレンデで練習し、ジョギングや自転車こぎで体力増強をしてきたのです。

 雪が深い。もし、転んだら雪に沈み込み、自力では立ち上がれない。

 慎重に滑って、転ばずにいくけど、これじゃへっぴり腰でかっこわるい。

 でも、問題は滑り降りてから、上に登っていくこと。ここにはリフトがない。お師匠さんは新雪・深雪を踏みつけ登っていく。私はお師匠さんがつけたトレースをなぞって登っていく。5分、10分と経つと息が上がり、意識はしっかりしているけど、体がついていかない。先を行くお師匠さんとの距離がだんだん広がる。

 これを3回繰り返して、気持ちは「もっと滑ればへっぴり腰じゃなくて、もっとかっこよく滑れるはす」。だけど、なんとか登るけど青息吐息。情けない。「こんなはずじゃなかった」。

 いつものように、どんどんできるお師匠さんの足を引っ張って、「それじゃ、帰りましょう」とするしかない。

 遭難することなく、けがもなく帰れたから、まあ、何よりですよね。でも、こんなレベルじゃね。

 次はしっかり登れるように体力増強を。

 新たな目標ができたバックカントリースキーでした。

バックカントリースキー

冬には、雪かき、雪下ろしをするのがあたりまえ

ーー  1月29日  ーー

 この冬、大雪なのですが雪かきがあまりつらいと思わないのです。 内陸部の豪雪地帯とは比べ物になりませんが、それでもこの法人がある沿岸部も今冬は雪が多い。法人の建物がある駐車場をしっかり除雪するには、除雪機を使って1時間半はかかります。除雪機を方向転換しtり積雪の状況に応じてハンドルを持ち上げたり、作業が終われば汗ぐっしょり。いい運動です。

 当然、自分の家の周りも雪かきをします。こちらはトラクターにバケットをつけてぐいぐいやります。

 さらに、屋根の雪下ろしを。これは危険な作業です。気をつけてやります。

 体力・運動能力・認知力を維持していたいということもありますが、もともとこういう仕事がきらいではない。きれいに除雪された駐車場を見ると、じわーと満足感が沸き上がります。 

雪山

夢は大きく、専門的に支援できる事業所に

ーー  1月29日  ーー

 このブログを書く大きな目的の一つは、このNPO法人が発達障害がある子どもたちへの支援が専門的にできることをどうにかして世間に認めていただきたい、ということなのです。

 専門性の一つはアセスメントについてです。アセスメントは、どのような方法で支援したら子どもとご家族が安心して暮らせるか、子どもがのびのびと自分の力を発揮して生きていけるかを探るためのものです。

 そして、実際に支援してどうだったか?子ども本人、親御さんの願いは充足できているかをチェックしながら支援していきたい。もし、なかなか目標に到達できないのであれば、関係者みんなで話し合って、アセスメントも含めて環境調整や支援方法を見直して善処するような、そんなチームでの支援を作っていけないだろうかと夢見ている。

 障害児者の相談事業所を経営しながらこれをしていくのはもちろん大変な仕事です。今のところ、ごく少人数のボランティアと共に、発達障害がある子ども、不登校の子どもへの実際的な支援をしているところです。ひきこもりの方への支援もしています。また、相談事業所と契約している子どもが利用している放課後等デイサービス事業所に出向いて発達検査を実施することも始めました。

 まだまだスタートしたばかりですが、私は発達障害については専門性があると自負しています。特別支援教育の教員として20年以上勤務してきたし(その間、失敗もしてきましたが、反省してそのような失敗は2度としないようにと思っています)、資格(公認心理師、学校心理士、等)を取得し、勉強してきました。これらの経験・知識に加えて、お子さん・ご家族の立場に立って一緒に考えていき、実際に支援していく。なかなか出口が見えないことがあっても粘り強く関係者と話し合いを続けていくのが専門家だと思っています。何かをやり遂げて完結した専門家ではなく、現在進行形の専門家ですね。

 今のところはボランティア活動としていますが、できればさらに専門性を深め(理論を学び、検査の回数を重ね、実際の具体的な支援のケースも増やしていきたい)、スタッフも増やしていければいいのですが。スタッフに生活できる給料も払える事業所にすることができたら最高ですね。

梅の木と花

 

今シーズン初めてのスキーに行きました

ーー  12月27日  ーー

 年末です。雪が降ると天気予報。「スキーに行こう」と決めました。

 隣の県の住民が宿泊すると、宿泊費の半額ぐらい補助で買い物券2000円分がつくというお得なプロジェクトを利用。

 さらに、ネットで早割リフト券を購入。1日券+お食事券+入浴券。 

 まもなく64歳理事長、時代についていっているものやらいないものやら。

 スキー場に着いて、スマホのデイスプレイに予約券を出すことができない。チケット販売のお姉さんが出してくれました。

 ネットオークションで買ったスキー板とリサイクルショップで買ったスキーブーツで、足慣らしをしてから、いざ上級者コースへ。昨シーズン、地元の上級者コースで滑れたから「おれは、どんなコースでも大丈夫」は無残にもパリーンと崩れ、「いつも行っている上級者コースが滑れたら、はたして、未知のコースでも応用できるか?」の問いは、「ノー」でした。

 理事長、ネットで一日券を買っています。一日券以上に滑りたい。あちらこちらうろうろと滑り、慣れないゴンドラに乗るにも係員から注意を受けるがめげることなく猪突猛進。

 「あれれ~、この斜面、さっきよりうまく滑れるぞ~!」と一瞬思うと、さらに猪突猛進!!リフトに乗りまくり、自己陶酔で滑りまくる。「ひざの痛みがあったかな?」に反応もなく、「ここはどこかもわからず、ただ滑りまくる」境地に達したのでした。

 冬至あたりのスキー場。午後4時を過ぎれば夕闇。雪降りしきる中でナイター照明に映し出されるリフト。前に座るカップルのシルエットが美しい。理事長は滑りまくる。

 ナイター券なし、午後5時まで。ややバカですが、それほどのバカでもなく、一日券終了前に終えて、温泉入浴。「極楽極楽」。

 「買物券を使わなきゃ」で売店へ。お所名物のかりんとうを持ってレジへ。「買物券2000円を超えたらPayPayで」と思っても、使い方がわからない。店員さんは親切だから、教えてくれるので、理事長は「はい」と答えるし、店員さんは客が大丈夫と思えば忙しいから自分の仕事に戻る。理事長はすいすいタップして支払い完了!「お客さん、支払い前に、店員に見せて!」。「あっ、そうなんだ」。買い物をしてクレームを受ける現代社会であった。

  客だとて 注意受けます スマホ決済

スキー場

家庭と教育と福祉の連携を

ーー  11月28日  ーー

 11月はまた、私の事業所と契約している利用者さんたちが学校・教育委員会との間で調整が必要でした。これは実に大変な重労働でした。

 小中学校の先生たちは、研修を受けているので、「発達障害」「特別支援教育」について大まかな理解をしているはずです。しかし、目の前にいる障害がある児童生徒を理解すること(アセスメント)にとても苦労する場合が実際にはあります。先生たちにとって自分たちの経験や入門段階の研修の知識ではとても歯が立たないお子さんの状態があるのです。学校や教育委員会で専門家だと言われている職員にも初めてのケースで知識がないということがあります。こうなると、学校も教育委員会もどうしていいのかわからないというのが実情ではないでしょうか?

 これを何とか円満にそのお子さんに合った本来のあるべき教育が行われるように進めていきたいのです。というより、そうしなければならないのです。これは、お子さんとご家族を尊重してていねいに相談していくというごく常識的な対応と、これまで自分たちが身につけてきた考えでは太刀打ちできないためにそのお子さんの状態に合った支援方法を全力で探す(この方法はこれまでの自分たちの常識からかけ離れている場合もある)という両面を同時に進めていく困難な作業です。お子さんやご家族が不安に思うことがないように、「今はわからないけど、みんなで力を合わせてお子さんに合う教育をしようと努力しています。ご家庭からも協力をお願いします」というようにやっていきます。ところが、ややもすると、これまでの自分たちの常識が優先して、保護者からの要望に「それはムリ」と応じてしまいはしないでしょうか?もしかすると、私たちにはうかがいしれないことですが、学校と教育委員会にはそう言わざるを得ない実情があるのかもしれませんが。

 文部科学省も厚生労働省も「家庭と教育と福祉の連携(トライアングルプロジェクト)」を謳っています。でも、現場はそれが認識されているのでしょうか?たとえ認識されていてもどのようにたらいいのかがわからないと思います。どの関係者もお互いを尊重して、虚心坦懐に、粘り強く話し合いを始めてはどうかなと思うのです。

百合の花

遊ぶことがないと人生のかなりの色合いが輝かない

ーー  11月28日  ーー

 久しぶりに10㎞のジョギングをしました。10月1日にひざを痛めてから、治療しながら、もともとゆっくりしか走れないのにさらにゆっくり少しずつ走り始めていました。八幡平スキー場のリフトが動いたようなので、スキーに行こうかなとも思ったけど、車で2時間半かかるし、まだひざが心配なので、ジョギングにしました。

 11月は、私は相談支援専門員としてのモニタリングの件数が少ないのですが、秋田県が行う研修が2週連続であったし、コロナの関係でオンラインの研究大会や研修が立て続けで、土日すべて休みなく研修に明け暮れていました。研修はとても有意義なのですが、遊びに行くことなく仕事関係のことばかりだと、やはりつまらない。

 10㎞走ると、次はもっと長く、もっと速くなどと目標ができて楽しい。スキーもうまく滑れない斜面があれは、家に帰ってからユーチューブを観たり自分で考えたりして、次に滑れるようになっていれば、そのうれしいこと!仕事も大いにやりがいがあるけど、遊ぶことがないと人生のかなりの色合いが輝かない。もっとも、調子に乗って、けがしたり命を落とすことがないように気をつけなければならないが。

ジョギングする男性
スキーする雪だるま